2009年7月アーカイブ

こんにちは。 今日はたまに本業の話をします。 最近、貸金業者は、債務整理で残債務が残った場合の分割和解での際一括弁済か分割なら18パーセント以上の将来利息をつける、それ以外は和解に応じない、と言って訴訟にしてくるケースが増えています。 これは、司法書士の債務整理の趣旨を全く理解しない、暴言であり高金利を取ったうえさらに債務者を追い込む悪質な手口と言えます。 そこで、先日和解に応じないで訴訟にしてきた業者に、反訴で損害賠償請求をしました。下に反訴状を載せましたのでごらんになってください。 また、先日破産したSFCGの一括弁済に対しては、期限の利益を喪失していない旨の抗弁で徹底的に争い、結局簡裁から地裁に裁量移送になりました。(その後同社は訴訟を取り下げ、分割弁済の和解成立) あくまで依頼人の利益のために戦う司法書士であり続けたいと思っています。                     反 訴 状 平成21年7月 日  簡易裁判所民事 係 御中              〒 ○○○-○○○○ 北海道                    反訴原告(本訴被告)  〒062-0903 札幌市豊平区豊平3条8丁目1番26号                            ヌーベルアーバンシティ                    司法書士法人坂東法務事務所(送達場所)              原告並びに反訴原告(本訴被告)訴訟代理人  司法書士 坂 東  守               電 話 011-814-5696 FAX 011-814-5691              〒 北海道              反訴被告(本訴原告)株式会社                        代表者代表取締役  損害賠償請求反訴事件(本訴事件番号平成21年(ハ)第     号) 訴訟物の価額 金30万円 手 数 料  金3000円 第1 反訴請求の趣旨  1 反訴被告(本訴原告)は、原告に対し金10万円及び反訴原告(本訴被告)に対し金20万円並びにそれぞれこれに対する反訴状送達の翌日から支払済みにいたるまで年5%の割合による金員を支払え。  2 訴訟費用は反訴被告(本訴原告)の負担とする。   との判決を求める。 第2 反訴請求の原因 1 本件の経緯   反訴原告は会社の    であるが、1日 万円程度の日給月給制であり、仕事がなければ賃金を得られない状況である。しかるに近年の不況により仕事の絶対量が減り  に出稼等して生活費を捻出していたが足りず、反訴被告に対する債務を含めて約   万円の負債を負うに至り、自力による返済が不可能となったので、消費者金融5社の債務整理を反訴原告訴訟代理人司法書士に委任した。   同司法書士は、反訴被告に対する利息制限法により引き直した後の反訴原告の反訴被告に対する本件債務額が金  万   円となったので、平成20年12月日をもって分割弁済計画を提示した。(乙1)   その後、反訴被告はいったんは将来利息を付加した和解案に応じながら、恣意的に前言を覆し、本訴訟に至るまで和解案を拒否し、一括弁済、若しくは分割払いならば将来利息の支払いを求める態度をとり続けた。(乙2) 2 反訴原告の司法書士からする債務整理受任通知送付後の請求と違法性 (1) 貸金業の規制等に関する法律21条によれば、貸金業者が債権の取立てをするに当たり人を威迫したり又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をもって困惑させてはならない趣旨の規制をしており、 同条1項6号では、債務者の経済的再生にあたり司法書士に対しても一定の権能が認められている。 また、金融監督庁事務ガイドライン3-2-2(取立て行為の規制)、(3)による「貸金業者がしてはならない行為」 ②によれば 「債務処理に関する権限を弁護士または弁護士法人に委任した旨の通知、司法書士法第3条第1項第6号及び第7号に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士または司法書士法人に委任した旨の通知、又は調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすること。」また、④でも「その他正当と認められない方法によって請求したり取立てをすること。」 が禁止されている。 前記法条は「取立行為」自体に対する規制と解されるが、これを受けた上記事務ガイドラインは私的金融業界に関する取引の正常化或いは発生するいわゆる多重債務者の経済的更生に資する位置づけと理解すべきであり、それらは一体として法規範を形成してぃるとみるべきである。 (2)したがって、 多重債務の整理を依頼された司法書士が、受任の通知をするとともに債務内容の開示を求め、 開示内容をもとに弁済方法につき和解案を提示しその協力依頼をしてきた場合には、貸金業者は、その和解案が誠意のない内容であるなど著しく不合理である場合等正当な理由のない限り、司法書士の提案に識実に対応し、 訴え提起等の取立行為に出ることを自制すべき注意義務があるというべきであり、 故意または過失によりこの注意義務に違反して債務者に損害を被らせた場合には不法行為責任を負うと解すべきである。 (3)これを本件についてみると、反訴原告代理人からの和解案の内容は「司法書士による任意整理の統一基準」 (乙3)に基づくものであり不合理なものではない。 実際、 反訴被告以外の債権者とは、上記続一基準に沿った和解が成立している(乙4、5)。 しかし、 反訴被告だけが、 上記和解案を受領後すぐに不同意として、 一括払い若しくは分割払いならば将来利息を希望する旨の返答をし、その後本件訴えを提起したものである。このようなことから、反訴被告の本件訴えの提起は上記の注意義務に違反するものであり不法行為を構成するというべきである。 反訴原告は本件訴えにより、 応訴のため司法書士たる反訴原告代理人に委任せざるを得なくなり、司法書土費用と 、裁判所への少なくとも2回の出頭や書面作成等により10万円を下らない出費を余儀なくされた。 相手方はいわば「貸金業のプロ」 であり反訴原告に本訴への対応を期特するのは酷であり(因果関係)、任意整理を受任した司法書士の通常の業務としては、介入通知・開示請求・行政指導申告・業者の開示結果について行う引き直し計算や和解に向けての提案・交渉・契約書の作成が考えられるが、 それ以上の応訴・反訴提起については、 受任司法書士に当初から予定されていた業務ではない (損害)。 また反訴原告は、本件訴え提起により精神的苦痛を被り、その慰謝料は10万円を下らない。 3 受任司法書士の業務の態様 (1)受任司法書士は、通常複数の債権者に通知を出し、受任の事実を知らせるとともに、貸付けと弁済の明細を最初の貸付けにさかのぼって報告してもらうことを要求する。 (2)受任司法書士は、 債権者が開示した上記取引履歴をもとに, 全債務を利息制限法の制限利率で引き直し、残債務があれば、「統一基準」(乙3)に基づき債権者に和解案を提示する。 (3)和解を提示された債積者は、通常和解案を受諾する(乙4,5)。 4 司法書士の任意整理の公益性 司法書士法1条は、 「この法律は、国民の権利の保護に寄与することを自的とする。」と定め、司法書士法2条は、「司法書士は、公正かつ設実にその業務を行わなければならない。」 と定めている。 これらによれば、 司法書士は、依頼者の正当な利益を実現するように誠実に職務を行うべき義務を負うとともに、個別の受任職務の適正な遂行を通じて国民の権利保護に寄与すべき義務を負うものというべきである。 ところで、 受任司法書士は委任者である債務者との関係では、貸金業者の請求を中止させ、支払可能かつ合理的な和解をすることにより、債務者を経済的に更生させるのであるが、 受任司法書士の活動は、それに止まらず、社会との関係では、 社会間題となっている多重債務者問題を個別的に法的ルールに則って解決することにより、委任者以外の潜在的多重債務者についても経済的再生の途を開くという効果をもたらすものであるから、 受任司法書士の活動は、公益的意義をも有する。 したがって、貸金業者による訴え提起の禁止は、受任司法書士にとって、単に委任者の経済的更生に資することになるに止まらず、 司法書士としての重い社会的責務を果たすための不可欠の条件であって、換言すれば、受任司法書士は、訴え提起がされないことにより職務を円滑に送行することができるという法的利益を有しており、貸金業者は、 上記利益を侵害しないように配慮すべき義務を負っているというべきである。 被告は、上記注意義務に違反し、訴え提起に及んだのであって、原告の受任司法書士としての法的利益をも侵害したものであるから、 被告は不法行為責任を負うというべきである。 本件訴え提起によって被った原告の精神的損害に対する慰謝料は10万円を下らない。 第3 違法性について (1)本件訴訟の争点は結局本件提訴が違法か否かであるが、この点につき、最高裁は、「当該訴訟において提訴者の主張している権利又は法律的関係が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのに、 あえて訴えを提起したなど、 訴えの提起が裁判制度の趣旨日的に照らして著しく相当性を欠くと認められる場合に違法な行為になる」と判じている(最高裁昭和63年1月26日)。 (2)原告らは、 被告の本件提訴は他の債権者に先んじて自らの債権のみを有利に回収するための手段にすぎず、「債権者平等原則」 に反し違法であると主張するところであるが、上記裁判例の基準・規範に照らし、 以下主張を整理ないし補充する。 第4 「被告の主張している権利が事実的、法律的根拠を有しないことを知り得たにもかかわらず、 あえて提訴したか否か」 (1)ところで、債権者平等原則は、 一般的に次のとおり定義されている。 すなわち、「債権者平等の原則」は、「契約自由の原則」である債権法の大原則であり、物権と異なり、 同一内容の債権が複数成立することができ、成立時期等にかかわらず債権の効力は相互に優先することはなく、債務者の資力が債権全てを実現するのに不足するときは、各債権者は平等の原則の地位に立ち、債権額に応じて満足を受けるにとどまる(平井直雄・債権総論[第2版]弘文堂・平6)。 (2)このように、「債権者平等の原則」 は、債務者の支払不能時に実際上の意味をもってくるのであるが、貸金業規制法21条1項6号には、この「債権者平等原則」の精神が反映されていると思われる。 けだし、債務者の責任財産が不足し無資力に陥ると債権者は、債務者の財産から自己の債権だけは回収しようと先を争い、 債権者間で他を出しぬこうとする無秩序な競争や争いが生じかねないが、同法21条1項6号が債務者が「財産隠し」や「時間かせぎ」等をしていることにすぎないことを理由としてるような場合のような「正当な理由」がない限り、債権者の取り立て行為をすべて禁止している以上、上記のような無秩序なことにならないために要請される「債権者平等原則」も、「貸金業者の業務の適性を確保し、もって資金需要者等の利益を図る」ことを目的とする同法l条の趣旨に鑑みるならば、同法21条1項6号の保護法益とされていると考えるのが自然だからである。 (3)このように同法が、「債権者平等原則」の精神をその保護法益に合んでいるならば、貸金業者は正当な理由がない限り、 すなわち、 「財産隠し」であるとか、 「単なる時間かせぎ」であるということを理由とするのでなければ、提訴は同法違反となり、 自ら主張している権利が事実的、法律的根拠を有しないことを知りながら又は知り得たにもかかわらず、 あえて提訴したことになると考える。 第5 (1)しかるに、被告社員  氏は、平成20年 月  日付受任通知を原告坂東より受領し、翌年4月にかけ、債務者である反訴原告  の代理人の原告坂東 と和解交渉を行っているが、 その際被告から、反訴原告    の収入・財産・他の債権者の残債務等につき、 確認らしい確認はなかった。 むしろ、 被告は他の債権者との和解が成立したことは何ら関係がなく、 他の債権者の残債務がいくらであろうと、 一括返済か将来利息を付けるのでなければ和解に応じられなぃという対応に終始した。それどころか、「和解してやらない」とか交渉途中で「もう裁判かけてるから」とか電話にも出ない等、原告を愚弄する対応に 終始したものである。 それ以後も被告から債務者の財産関係や収入 ・他の債権者の状況等についての確認はなかった。 (2)このような被告の和解交渉における対応は、 債務者の支払い可能額がどのくらいが妥当かということを探るものではなく、 むしろ、債務者が支払不能状態にあることを前提事項として、「債権者平等原則」 に反することを承知で他の債権者のことはお構いなくいかに被告のみが有利な和解をするかということに終始していたといえる。 (3) その後、被告は訴訟を提起し、 第2回口頭弁論期日において、原告らの和解申し出を無視し、 あくまでも一括弁済もしくは将来利息を付した分割を求めた。 第6 以上により、被告は、「債権者平等原則」をもその保護法益とする貸金業規制法21条1項6号があるにもかからず、それに反し正当な理由なく提訴に及んだ。 よって、被告の訴訟提起ないし訴訟活動は、被告自身反訴原告に対して有する債 権の行使が、事実的・法律的根拠を欠いていることを知りながら又は知り得る立場にいながら、 あえて訴訟に及んでいるといえ、 裁判制度の趣旨目的に照して著しく相当性を欠くので、 原告らは 「請求の趣旨」記載のとおりの判決を求めるものである。 以 上               証 拠 方 法  1 乙1 通知書 1 乙2 陳述書 1 乙3 司法書士による債務整理の統一基準 1 乙4 和解契約書 1 乙5 和解契約書                付 属 書 類 1 乙号証写し 各1通
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